電動ガンの シム調整 解説!
プロのエンジニアによる調整方法をご紹介
電動ガンを自身でカスタム・チューンナップするとき、特にメカボックス内部まで手を入れる場合に難関となるものの1つが シム調整 です。電動ガンが箱出し状態で快調であり純正ギアのままメンテナンスするのであれば、メカボを開けたときのシムの状態をそのまま再現すればよい話ですが、ギアや軸受けを社外パーツに変更する場合は シム調整 が必要となってきます。
しかしこの シム調整 をミスってしまうと、メカボを閉じた時にギアに圧が掛かかって回らなくなったり、逆にクリアランスが大きくなりすぎて動作に支障が出てしまったりします。かなり重要な項目であることは言わずもがな。
ですが、シムは3個のギアの両端、合計6か所も調整しなければなりません。これらをどういった視点でどのような理論で調整すればうまくいくのか?このロジックは数多くのカスタムを実施してきたプロフェッショナルではなくては、なかなか「正解」が分からないのも事実です。
そこで、本記事ではORGAがプロショップとして持っている シム調整 の理論をご紹介します!
もちろん電動ガンのカスタムはチューナー次第で手法は様々です。正解はそれぞれのチューナーにあるわけで、これから紹介する シム調整 についてもあくまでORGA AIRSOFTのやり方であると付け加えさせて頂きます。しかしながら理論的にわかりやすい方法ではあるので、これからご自身でチャレンジする方はぜひ参考にしてください。
シム調整 の準備&ギアの配置
ギアに使用するシムは、厚さの異なるもの(0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.5mmなど)を複数種類用意しておくことでジャストな シム調整 が可能となります。様々なメーカーからギアシムのセットが販売されておりますので是非ご用意下さい。
はじめてチューンナップにチャレンジする方はそれぞれのギアの種類・配置についても覚えておいてください。
セクターギア
ピストンを引くためのギア。モーターから一番遠いギアであり、一番力の掛かるギアです。
ベベルギア
ピニオンギア(モーターに直接付いているギア)の横回転を縦回転に変換する、メカボの中では最もモーターに近いギアです。このギアの位置が適正でないとピニオンギアの高さ調整だけでギア鳴りが解消できないなど後々支障が出てしまいます。
スパーギア
一般的には平歯車のギアのことを指しますが、電動ガンではベベルギアとセクターギアを繋ぐギアのことを指します(平歯車のみで構成されるギアのため)。
また、 シム調整 を進めていく過程でメカボックスを仮で閉じたり開けたり繰り返しますので、万が一バラバラになってしまった時に備えて、厚さを決めた箇所は忘れずに数値をメモしていきましょう。
①最初はスパーギア下側のシム決めから
シム調整 を含め、メカボックスを組み上げていくときは左側(フロント側が右を向く側)のメカボにパーツを配置していきます。
シム調整 は、ますはスパーギアの下側から決めていきます。厚さはスパーギアが回った時に外周がメカボックスやベベルギアの軸受けと干渉しない程度に、極力薄めのシムがお勧めです。スパーギアの下側は薄いほど良いと覚えておいてください。
0.1mmで事足りるならそれが理想ですが、恐らくメカボや軸受けと干渉する場合が多いと思います。とりあえず0.2~0.3mmのシムを入れてみるのが良いかと思います。
薄いシムから順に試してみて、メカボックスやベベルギアのシムと干渉しないか確認しましょう!
②セクターギア下側のシム決め
スパーギア下側のシムが決まったら次はセクターギア下側のシムを決めていきます。セクターギア下側のシムもスパーギア下側のシムと同じ厚さか、+0.1~0.2mm程度のシムを使いメカボにセットします。
この時点でスパーギア上部とセクターギア下部が干渉していないかチェックします。メカボックスの下側から見てスパーギアとセクターギアの間に隙間があればOKです。干渉がある場合はもっと厚いシムを入れましょう。
③ シム調整 の肝!メカボを閉めてギアの回転チェック
セクターギア下側のシムを決めたら、スパーギアとセクターギアの上側に任意(とりあえず0.3mmや0.5mm)のシムを入れ、メカボックスを閉じてネジを2~3か所締めます。
ネジは仮締めではありますが、回転チェックは シム調整 の肝になる部分ではありますので、ネジはしっかりと締めてください。ここでメカボがしっかりと閉まった状態を再現できていないと元も子もありません。
メカボを閉じた状態でセクターギアを指や細長い棒状の物で回し、カラカラと抵抗なく回る事をチェックします。快調に回らない場合は上側のシムが厚いという事になりますので、シムをより薄い物に交換します。
逆に回りはするがガタが大きい場合は上側のシムの厚さが足りないということになります。メカボックスを水平にしてスパーギアとセクターギアを細いドライバーなどで押してみて、どれぐらい動くのか目視しながらシムを調整してください。
全くクリアランスがない状態ですと、メカボックスを最終的に組み上げた際にギアへの圧が強くなりすぎて回らなくなる可能性もありますので、0.1mm程度のガタを残すのがベストです。スパーギアに関しましては特にこの辺りをキッチリ調整してください。セクターギア上側に関してはタペットプレートに押さえられることもあり、回りさえすればシビアな調整は必要ありません。
④メカボックスを開けて擦れ跡のチェック
スパーギアとセクターギアの上側のシム調整が完了したら、メカボックスを開けてスパーギアのメカボへの干渉を改めて確認しましょう。スパーギアの下側外周に擦れ跡がなければOK!擦れ跡があればスパーギア下側のシムを0.1mm足しましょう。その際、併せて上側のシムを0.1mm減らしたり、セクターギアと接触しないかなど改めて確認してください。
⑤ベベルギアのシム決め
最後にベベルギアの シム調整 をします。といってもここまでくれば、ベベルギアについてはモーターピニオンで押されるのでそこまでシビアに調整しなくても大丈夫です。
ベベルギアは上下のシムをなるべく同じ厚さにした方が、組み上がった時にモーター位置の調整で困ることが少なくなります。メカボックスとのクリアランスに応じて0.2~0.5mm程度のシムをベベルギアの上下に入れ、メカボックスを閉じ2~3箇所ネジを締めます。②の時と同じように全てのギアがストレスなく回るかチェックしてください。
回らない場合はベベルギア上下のシムを薄く、ガタが大きいときはシムを厚くしてください。ただし、先述の通りある程度のガタは問題ありません。
これで シム調整 は完了です!メカボックスの組み上げにはギア周り以外にも組まなければならないパーツが多数ありますから、作業するうちにギアがバラバラになってしまうこともあるかと思います。冒頭でお話した通りシムを決めたらメモを取っておきましょう。
また、電動ガンの シム調整 についてはORGA AIRSOFTの公式Youtubeでも動画で解説しておりますので、こちらも是非ご覧ください!